理事長あいさつ

この度の能登半島地震に被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

災害や他国での紛争の長期化、物価上昇や円安などによる経済状況など、国内外の状況は、以前にも増して変化が速く不確実性の高い年となるように思われますが、本会としては、地域福祉の担い手として足元を見据え、着実な一歩となるよう事業計画の策定にあたりました。

昨年度は、新たな施設等の開設は予定していませんでしたが、比較的軽度の障害者を対象としたサテライト型グループホームの定員を2名増やしました。また、給食業務におけるセントラルキッチン化など業務効率化を図ることにより収益性の向上に努めました。職員数については、外国人介護技能実習生の採用を含め積極的な採用活動に努めてまいりましたが、令和6年1月1日現在211名、前年同月比4名の減となっています。資金収支における事業活動による収入は、令和4年度決算で12億55百万円余りであり、令和5年度は、事業所開設等の大きな変化はなかったものの、短期入所の受け入れ増などによりこれを上回るものと想定しています。この他、昨年5月に新型コロナ感染症が第5類に引き下げられて以降、納涼祭などの各種イベントや対面での会議を再開し、保護者・地域の皆さんとの交流も再開しました。また、人材育成のための法人内研修や芸術活動などの取り組みもはじめました。これらの各種交流を通じ互いに理解を深めることの大切さを改めて感じたところです。

令和6年度は、報酬改定の年度となります。現在、障害福祉についてもプラス改定の方向性が示されていますが、決定された内容を精査しこれに対応してまいります。報酬改定の論点では、持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のため、物価高騰・賃金上昇等を踏まえたサービスの安定的な提供のための人材確保が必要であることが問われています。適正な職員数を把握し、賃金上昇を伴う人材確保を図り、各種研修制度や資格取得制度を通じた人材育成にも努めてまいります。昨年来の課題となっている新規事業所等の稼働率向上については、引き続き相談業務や事業所案内を継続するとともに、グループホームの定員増を図ることにより対応することとします。また、スポーツ・芸術活動や各種行事を継続し、長期計画に定めてある利用者さんたちが公園的に利用できるような森の整備も進めてまいります。これらを含めて、より健全な経営を目指すこととします。

さて、千葉県では昨年末、多様性尊重推進条例が成立しました。多様性には、性別や国籍、障害の有無など生まれ持った特徴もありますが、私たち個人の内面的な特徴や人間同士の関係性など幅の広い視点を含むものだと思います。超高齢化社会を迎え人材確保のための様々な工夫が必要となっていますが、当法人では、外国人介護人材の採用を始めました利用者さんは、彼らを敬遠せず、やさしく丁寧な介護に好感をもているようですし、彼らに見習うところもあるのではないかとも思います。また、芸術活動を通じた地域や様々な世代の方々との交流の中で、障害者のそれぞれの特性を改めて考えさせられることもあります。

多様性について職員と話をすると、職員から「この法人ほど多様性のある法人はありませんよ。」という答えが返ってきました。個々の障害特性を見極めながらの日常の支援は、多様性を考えるうえでこの上ない事業所であるともいえます。これらは、一般企業にはない魅力の一つであると思います。

条例は1月1日施行です。障害者や外国人などをひとくくりの対象として理解するのではなく、一人ひとりの個性と向き合い、互いに共感し、相互に理解していける年にしたいところです。

社会福祉法人 槇の実会 理事長 市原 良治

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